青松英男代表のフィロソフィー

Q1JPHはこれまでDRCキャピタルがやってこられた所謂PE(プライベート・エクイティー)投資ファンドと比べて、何が違うのですか。
A1

従来のPE(プライベート・エクイティー)投資ファンドは、なるべく早くリターンを得るために、投資先を数年で転売しキャピタルゲインを得ることを目的としています。一方、JPHは組合期間のあるファンドではなく無期限に継続する株式会社であるので投資先を転売せず基本的に「永久保存」することができるところが最大の違いです。

したがって、JPHに譲渡する会社のオーナーは、自分が大事に育ててきた会社が別のファンドや競合他社、外国企業に転売され、会社理念が歪められたり、従業員の待遇が悪化することを懼れる必要がありません。JPHは受け入れた会社に組織として永久的に寄り添い、長期安定成長を支援し、短期的リターンを求めません。

米国著名投資家ウォレン・バッフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイは一旦引き受けた優良会社は基本的に「永久保存銘柄」としてずっと保有しているのが有名ですが、弊社もこれに習いたいと思っています。

Q2JPHを始めたきっかけは何ですか。
A2

これまでファンドの投資先にはすべて取締役として参画し、愛着をもって長期的企業価値向上の支援をしてきましたが、企業価値が増加した一定の段階で、ファンドの要請から、投資先を転売しなくてはならず、いつも個人的にはより長期的に関与し続けられないかと思っていました。また、ファンドとして投資する時も、相手オーナーは当方ファンドがいつ誰に転売するのだろうといつも心配されていました。しかし、もっと大きいのは、そもそも会社オーナーにとってファンドは譲渡したくない先であるということを年々痛切に感じてきているからです。そこで転売しなくてもいい仕組みとしてJPHを考え出したのです。

Q3JPHは投資先を転売しないとすると、JPHの投資家はどうやって投資を回収するのですか。
A3

JPHの投資家は、JPHが将来東証に上場する時に投資を回収し、リターン(キャピタルゲイン)を得ます。もちろん、JPHが引き受けた会社は転売されず、JPHに保有され続けていることに変わりありません。

Q4青松さんの投資哲学があるとすると、それは何ですか。
A4

2009年5月25~29日の日本経済新聞夕刊のコラム『人間発見』で私のことが連載された時のタイトルが「愚直に貫く投資の原則」でした。その投資の原則とは三つあり、今でも愚直に守っています。

一つ目は株価が過小評価されていてポテンシャルが高い会社を投資対象にすること。あたり前ですが、本質的に良い会社にしか投資しないということです。

二つ目は、多くのファンドがしている、投資資金を借入金に頼ることをしないということ。過大な負債を投資先の会社に負わせると、その会社の発展に必要な設備投資などができなくなるからです。

三つ目は内部の既存経営陣をサポートすることです。結果的に外部から経営者を送ることになっても、まず内部の経営陣・幹部と信頼を築き、その会社のポテンシャルを顕在化させることに全力を尽くします。

Q5京都大学経営管理大学院での講義や、日本経済新聞夕刊のコラム『十字路』の執筆で、啓蒙活動を積極的にされていますが、いつも学生、読者にどのようなことを発信されているのですか。
A5

あえて一言でいうと「株主資本主義の復興」です。昨今、決してポピュラーなテーマではありませんが、企業理念を追求するにも、従業員の待遇を改善するにも、まず必要条件として資本に対する適切なリターンを確保できないと、現在どんなに優良企業であっても、長期的には回っていかないということを事例、理論交えて論説しています。また、財務上の「下部構造」だけでなく、企業の精神にあたる理念を中心とする「上部構造」も構築しないと、どんな企業も健康に存続していくことが難しいということも述べています。

Q6JPHのPはPerpetual(恒久的)からきていますが、Perpetual(恒久的)ではない青松さんはいつまでこの仕事をされるつもりですか。
A6

またしてもウォレン・バッフェット氏を引き合いに出すのは恐れ多いことですが、バッフェット氏は投資業において60代はまだ「初心者」であると言い放っています。即ち、投資業は経験が多くなればなるほどいいということです。よって、私もJPHをライフワークとして続け、自分の経験を生かしていく所存ですが、JPHを属人化してはいけないので、組織として適切な後継者の育成、選抜を社内外の人材からしていきます。

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